Yapperは、画面を翻訳し、日本語のプロンプトを受け付けるだけでは終わりません。日本語クリエイターとナレーション動画を繰り返し検証し、失敗しやすい箇所を調べ、Seedance 2.0の公式データや最新の動画プロンプト研究と照らし合わせました。
そして、その結果をYapper Assistantと動画プロンプト補助機能へ組み込みました。
作りたい動画を自然な日本語で伝えると、Yapperが次の準備を自動で行います。
- 省略された主語を補い、動作とセリフを正しい人物へ結び付ける
- 人が読む自然な日本語を保ちながら、必要な発音だけを明確にする
- セリフが実際の尺に収まるか確認する
- 参照素材、カメラ、音の役割を整理する
- 矛盾した指示や、詰め込みすぎた構成を生成前に検出する
特別なプロンプト形式を覚えたり、自分で制作指示書を書いたりする必要はありません。 作りたい内容を自分の言葉で伝えれば、Yapper Assistantが生成モデルに適した形へ準備します。
ここから先は、その裏側で何を確認しているのか、そしてなぜ使える生成結果を得やすくなるのかを知りたい方向けに、検証から得た知見を紹介します。
日本語動画に特有のプロンプト設計
最初に確認するのは、日本語そのものから生まれる課題です。主語や目的語の省略、複数の読み方、ピッチアクセント、文節の区切り、モーラを基準にした時間設計を扱います。
日本語は「文脈で分かる」を前提にできる
日本語は「文脈依存度が高い言語」とよく言われます。ただし、これは日本語が本質的に曖昧、不完全という意味ではありません。言語学では、日本語は一般に主題優勢言語と説明されます。一度話題と状況を共有すると、聞き手が補える主語、目的語、所有者などを言葉にしなくても会話が成立します。一方、英語は主語優勢の性質が強く、通常は文の中に文法上の主語を明示します。
日本語の母語話者にとって、この省略は「情報が欠けている」と感じにくいものです。誰のことか、何を指すか、誰が次の動作をするかを、直前の会話、目の前の状況、相手との関係、互いの共通知識から無意識に補っているからです。
たとえば、次の日本語は会話として自然です。
もう置いておいて。あとで確認します。
その場にいる人なら、誰が何を置き、あとで誰が確認するのかを理解できるでしょう。しかし、動画生成モデルが見られるのは、入力されたプロンプトだけです。複数の人物や物が登場すると、人間には自然な省略が、AIには未決定の演出になります。
実際、日本語と英語の機械翻訳でも、一文だけでは失われる情報を補うために、会話全体の文脈を利用する研究が行われています。
Yapperは、話す日本語を不自然に説明的な文章へ変えるのではありません。セリフでは自然な省略を残しながら、モデルへ渡す生成指示の中だけで、誰が置くのか、何を置くのか、誰が確認するのかを補います。

「指示する日本語」と「話す日本語」を分ける
最も重要な発見は、日本語を二つの役割に分けて考えることです。
- 生成指示の日本語: 誰が、何を、いつ、どのように行うかを明確にする
- セリフやナレーションの日本語: 日本人が聞いて自然な表現を保つ
動画の生成指示では、主語、動作、対象、タイミング、カメラ、感情、変えてはいけない条件を明確にします。
一方、セリフまで英語のような語順に固定すると、日本語として不自然になります。話す文章は、あくまで自然な日本語であるべきです。
つまり、必要なのは日本語を英語へ翻訳することではありません。クリエイターの自然な日本語を理解し、生成モデルが迷わない形へ整理することです。
日本語では省略できても、AIには省略しない
日本語では、主語がなくても文脈から意味が通じることがよくあります。
たとえば、次のような指示です。
ラケットを拾う。驚いた表情で見る。「始めよう」と言う。
人間同士なら、前後の流れから登場人物を推測できるかもしれません。しかし、複数のキャラクターがいる動画では、AIにとって次の点が曖昧です。
- 誰がラケットを拾うのか
- 誰が驚くのか
- 誰がセリフを言うのか
生成用の指示では、それぞれの動作とセリフを人物へ結び付けます。
SEIKAがラケットを拾う。
コーチがSEIKAを見て、驚いた表情を見せる。
SEIKAが落ち着いた声で日本語で言う:「始めよう。」
複数人が登場するときは、「彼女」「その人」のような代名詞より、名前、役割、参照画像のラベルを使う方が安全です。
これはセリフの日本語を不自然にするためのルールではありません。舞台指示だけを明確にし、話す日本語は自然なまま残すためのルールです。
日本語で主語や目的語が省略されやすいことは、自然言語処理の分野ではゼロ照応として長く研究されています。最近の日本語対話研究でも、省略された情報を補完することで、応答の一貫性が改善することが報告されています。
「SVOC」は、日本語の文法ではなく生成指示の点検表にする
SVOCは、**Subject(主語)、Verb(動詞)、Object(目的語)、Complement(補語)**の頭文字です。英語文法の型ですが、生成指示に必要な関係が揃っているか確認する点検表として役立ちます。
| 記号 | 文法上の意味 | 生成指示で確認すること |
|---|---|---|
| S | Subject(主語) | 誰が動く、または話すのか |
| V | Verb(動詞) | 画面上で確認できるどんな動作をするのか |
| O | Object(目的語) | 誰や何に対して、その動作を行うのか |
| C | Complement(補語) | その結果、どんな状態や条件になる必要があるか |
すべての区間に目的語や補語が必要なわけではありません。「SEIKAが微笑む」だけで完成する動作もあります。SVOCの価値は、AIが推測する前に、抜けている関係を発見できることです。
カメラ、音、時間、参照素材の役割はSVOCの外側にあるため、別に指定します。実際に話すセリフまで、英語のような固い語順へ直す必要はありません。
「漢字を使わない」ではなく、必要な読みだけ設計する
日本語音声で誤読が起きたとき、すべての漢字をひらがなへ変えたくなるかもしれません。しかし、それを一律のルールにすると、文章の区切りが分かりにくくなり、別の読み間違いを生む可能性があります。
より安全なのは、二つの文章を使い分ける方法です。
表示用の文章
字幕、確認画面、記事など、人が読む文章には自然な漢字かな交じり文を使います。
Yapper独自の機能で、日本語動画をもっと簡単に作れます。
音声生成用の文章
読みが曖昧な漢字、固有名詞、数字、助数詞、英単語、略語だけを、必要に応じて意図したひらがな・カタカナへ置き換えます。
やっぱー どくじの機能で、日本語動画をもっと簡単に作れます。
Yapper Assistantは、読み方が分からない名前や専門用語を勝手に推測しません。意図した読みが不明な場合は、生成前に確認します。
日本語向け音声システムが専用の読み仮名指定を用意していることからも、表記だけでは発音を常に決められないことが分かります。
正しい読み仮名は、発音設計の第一段階にすぎません。日本語の自然さには、アクセントや文節の区切りも関係します。Amazon Pollyの日本語向けPronunciation Kanaではピッチアクセントまで指定できます。つまり、読み、アクセント、区切りは別々に確認する必要があります。ブランド名、キャラクター名、専門用語では、推測した読みより、承認済みの音声リファレンスを優先します。
文字数より、実際に話す時間を確認する
15秒の動画だからといって、15秒すべてをセリフで埋める必要はありません。
映像の開始直後に少し間を取り、最後にも余韻を残す方が、ナレーションもリップシンクも自然になります。15秒の動画であれば、実際に話せる時間を約12秒と考えるのが安全な場合があります。
ここで注意したいのが、日本語の文字数と発話時間は一致しないことです。
漢字一文字が複数のモーラになることもあれば、句読点が間を作ることもあります。同じ文字数でも、固有名詞、数字、感情表現によって必要な時間は変わります。
そのため、生成前の確認は次の順番が理想です。
- 音声がすでにある場合は、実際の長さを測る
- 音声がない場合は、意図した読みに直してモーラと話速を見積もる
- 冒頭と最後の余白を残す
- 長すぎる場合は、無理に早口にせず自然な文の切れ目で分ける
日本のプロナレーターによる音声コーパスでは、通常速度の平均が約4.8モーラ/秒と報告されています。これは絶対的な上限ではありませんが、落ち着いた通常ナレーションを見積もる出発点として参考になります。
ただし、モーラ数は見積もりであり、秒数を正確に決める時計ではありません。自然な日本語発話では、丁寧に読んだ音声よりも、モーラ数と実際の時間の関係が弱くなることが報告されています。感情、語尾の伸び、間、音節構造でも長さは変わります。録音済みの音声がある場合は、文字からの推定より実測時間を優先します。
短すぎる原稿も問題になることがあります。映像の尺に合わせて音声が不自然に引き伸ばされる場合は、「通常の速さで話す」と明示し、残りの時間を表情、動作、カメラ、環境音へ使う方が自然です。

Seedance 2.0の日本語は「音質」と「指示どおり」が別の課題
Seedance 2.0の公式モデルカードには、日本語音声に関する興味深い評価があります。
Image-to-Videoにおける日本語音声の評価は、5点満点で次の結果でした。
| 評価項目 | スコア |
|---|---|
| 音声品質 | 4.00 |
| 音声と映像の同期 | 3.63 |
| 音声指示への追従 | 3.13 |
この結果は、日本語音声がきれいに聞こえても、指定した内容や読み方に同じ精度で従うとは限らないことを示唆しています。
もちろん、これは一つのベンチマークであり、すべての生成結果を保証する数字ではありません。それでも、生成前に日本語を確認し、話者、読み、尺を整理する価値を示す重要な材料です。
公式資料では、複数話者の場面でリップシンクエラーが残ること、複数人物の一貫性や正確な文字の再現には改善の余地があることも説明されています。
そのため、精度を重視する場合は次の方法が有効です。
- 一つの動作区間につき、見えている話者を一人にする
- 正確なセリフでは、一つのクリップに主な話者を一人だけ置く
- 複数人の会話は、話者ごとの区間やクリップへ分ける
- 正確さが必要な日本語字幕は、動画内で生成せず編集画面で重ねる
Seedance 2.0は、画像、映像、音声、テキストを組み合わせ、それぞれから人物、構図、動き、カメラ、音などを参照できます。公式例でも、どの素材を何のために使うかが明示されています。
すべての動画生成に共通するプロンプト設計
ここから先は、日本語だけに限らない原則です。複数の参照素材、人物、動作、カメラ、音を短い動画へ組み合わせるとき、どの言語でも生成の安定性を高めます。
長いプロンプトは「文章」ではなく「制作指示書」にする
細かな指示が多い場合は、一つの長い文章に詰め込まず、次の階層へ分けると確認しやすくなります。
- 中心となる意図: 被写体、場所、映像スタイル、最後にどうなるかを一文で示す
- 時間ごとの区間: 一つの区間につき、主な動作とカメラの狙いを一つずつ置く
- 固定する要素: 人物、衣装、小物、色、位置関係など、変えてはいけないものを示す
- 参照素材の契約: 各画像、映像、音声から何を借り、何を借りないか決める
- 音の設計: セリフ、話者、話し方、音楽、効果音、環境音、無音を分ける
これは特別な呪文ではありません。クリエイターとYapper Assistantの両方が、生成前に矛盾や不足を確認できる構造です。
この階層に分けることで、画角とカメラ、画風、照明、人物、場所、動作、セリフ、音を別々の制作判断として扱えます。一文にすべてを背負わせず、一つずつ明示することが重要です。
参照素材には、一つずつ役割を与える
Seedance 2.0の公式例でも、絵コンテ、人物、場所、小物を別々の入力へ割り当てています。アップロードした理由をAIに推測させず、各素材の担当を明示します。
| 参照素材 | 担当するもの | 担当しないもの |
|---|---|---|
@Image1 | 人物の顔、衣装、デザイン | 動き、カメラワーク |
@Video1 | 動きのリズム、カメラの軌道 | 人物の見た目 |
@Image2 | 場所、構図 | セリフ、声 |
@Audio1 | 声、発話時間、音のリズム | 映像スタイル |
動きやレイアウトだけを参照する素材では、そのことを明記します。この「参照素材の契約」が、別の人物、衣装、背景、画風まで誤って引き継ぐ事故を減らします。
一つの動画で使える「複雑さ」には予算がある
秒数付きの絵コンテは整理に役立ちますが、時刻を書けばすべてが確定的に再現されるわけではありません。人物、動作、話者、カメラ変更、画風変更、参照素材が増えるたびに、AIが短い時間内で解決すべき関係も増えます。
安定した動画を作るため、各区間は次から始めます。
- 一人につき主な動作を一つ
- 中心となるカメラの動きを一つ
- 音の目的を一つ
- 正確なセリフが必要なら、見えている主な話者を一人
複数の変身、場所、話者、カメラ方式が必要なら、クリップを分けます。短い生成を一つのシーンとして扱い、中心となる動きを確認してから、要素を一つずつ追加します。
生成前に矛盾を確認する
長いプロンプトでは、それぞれ単独なら正しい指示が、同時には成立しないことがあります。たとえば、次の組み合わせです。
- カットなしの連続撮影と、頻繁なクイックカット
- 固定カメラと、人物の周囲を回り込むカメラ
- BGMなしと、特定の音楽指定
- 強いモーションブラーと、ブラー禁止
- 場所を固定する指示と、複数の環境へ移動する構成
重要な禁止事項は、「カメラは固定したまま」「背景は変化しない」「環境音だけが聞こえる」のような肯定形の固定条件へ変えます。大量の禁止リストより、守るべき状態の方が優先順位を付けやすくなります。その後は、一度に変更する要素を一つに絞ると、何が結果を改善し、何が崩したのか判断できます。
Yapper Assistantが両方を生成前に確認する
日本語クリエイターが毎回この知識を覚え、手作業で直す必要はありません。
Yapper Assistantは、生成前に次の項目を確認します。
- 省略された主語を補い、すべての動作を人物へ結び付ける
- すべてのセリフを話者へ結び付ける
- 読み間違えやすい漢字、名前、英単語、略語だけを音声用表記へ直す
- 表示用の自然な日本語は別に保持する
- 音声の長さ、モーラ、話速、冒頭と最後の余白を確認する
- 複数話者や複雑すぎる動作を、必要に応じて分割する
- キャラクター、衣装、場所など、変えてはいけない要素を確認する
- 各参照素材が人物、場所、動き、音のどれを担当するか明示する
- カメラ、音、時間、画風、人物固定の指示に矛盾がないか検出する
- 中心となる動きを、補助的な装飾より優先する

Yapperは、単に「プロンプトを入力して生成する」だけのツールではありません。
日本語で物語、感情、キャラクター、避けたいことを自然に伝えるだけで、Yapperが生成可能な形へ整理し、失敗しそうな点を生成前に知らせます。
日本語AI動画を、もっと自然に。もっと安心して。
日本語AI動画の品質は、翻訳の有無だけでは決まりません。
生成指示では主語と動作を明確にする。話す日本語は自然に保つ。読みが曖昧な箇所だけ発音を指定する。そして、生成前に実際の尺へ収まるか確認する。
この小さな準備が、聞き取りやすさ、リップシンク、キャラクターの動き、そして無駄になる生成回数を変えていきます。
Yapperなら、モデルごとの複雑な仕様を覚える必要はありません。自分の言葉でアイデアを伝えるだけで、Yapper Assistantが生成できる形へ仕上げます。
作りたい動画をYapper Assistantに伝えるだけ。プロンプトの構成、日本語の確認、生成前の準備までまとめて進めます。